蟲囁
「探して、探して、歩いてるんですよ。」
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2008.08.20 * * * * top↑
必読と小説目次
[はじめに]
 ようこそ、蟲囁(むしのささやき)へ。ここは外道わんこ大佐が管理しているオリジナル小説のブログです。
 ジャンルはどちらもオリジナルの和風ファンタジー神話ファンタジーです。神話に至ってはごちゃまぜで最早オリジナル神話です。
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[告知]
 †友情出演…キリ・ゾロ踏んだら友情出演!? くわしくはこちら。



[小説目次]
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【鍵師】(書き下ろし・携帯用分割)
 門:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 関:1

【鍵師完全版】(加筆修正版・一話完結・PC用)
 門(もん) 関(かかわる)
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【Black Chronicle】(書き下ろし・携帯用分割)
 序章 プロローグ 1 2 3 4
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【Chameleon】(書き下ろし・携帯用分割)
 1 2 3new
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【SS】
 ・5.30 …5.30/モンキーマジック
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2037.01.01 * 連載小説 * * * top↑
おひさしぶーりー
 ほんと久しぶりでごめんなさいとまずは頭を下げておきます、申し訳ない!
 色々とありまして、ごちゃごちゃしていまして、ですね、主にまあ自分のせいですが。
 で、まったく小説進んでないんですねこれがねー。

 取り敢えず、移転するよ?ということだけお知らせ。←

 一々ログインしてーかいてー、で、広告おもくてー、というのが面倒になったので、あとまあHNも統一しよっか、うん、このさいだし、みたいなことで。
 というわけで、我が輩フリーCGIでゲットしたブログに引きこもります。はい。

 まあどっちみち小説も進んでないし、滅多に居ないとは思うんだけど続き期待してた人にこのまま放置で変な広告でてるんも申し訳ないんでw;

 続き見せろやぁ!という人だけ(しかも亀更新を生暖かく見守られる人だけ)に、リンク教えます。はくーしゅとかでどぞ。んでーわでわ。
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2008.07.15 * 徒然日記 * CM:0 * TB:0 * top↑
ニル家座談会その1
キャラクタの座談会です。見たい人だけ続きをどぞー!
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【Read More】











































せばす…さて、始まりました、自己紹介を兼ねた座談会でございます。司会は私、ヨハンことヨハン・セバスチャン・ヴォータンが進行させて頂きます。ではまず、自己紹介からどうぞ。
よきはいはーい、零韻こと飫喜こと零韻でーす。僕は色々名前を持ってるんで、混乱しそうになりますよー。役所も話によって大分違うし。性格も全然違ったりするし。
ぼたん倭卦こと玖威こと釦こと…うーん。零韻かな?零韻と同一人物なことが多いです。今回はカメレオンで妹役だなー。大概玖威で通ります。うん!よろしく!
しるまだ出てねーよな俺!シルヴァーノ・バラッティだ、零韻たちにゃ「銀」って呼ばれてるけどな。大概気さくでチョイ悪お兄さんを演じてる。中身もそうかわらねーけど。
あれアレックス・バトラーでござんす。アタシゃ大体変態ちっくな役が多いんでござんすよねぇ、この舌とかのせーかしらん?
うぃずウィズ・ウィザードだ。以前はデス・ウィズって呼ばれてた。電脳系は殆ど出てる。サイバー担当だな。
ななちナナシだ。殆ど名前は無い役ばかりでな。結局そのまま名前がナナシになった。
せばすそして私、ヨハン。私は零韻様の従者としてのみ活動させていただいております。こんかいはカメレオンのメンツにナナシ様をお迎えしての座談会となります。皆様どうぞ宜しくお願いします。
よきなんか不思議な感じだよねー。普段は僕なんかいつもめちゃくちゃ強いキャラクタばっかさせてもらってるけど。ほんとはそんなでもないですただの人ですあはは。
ぼたんあー、私もー。零韻として行動することが多いせいか、カメレオンではあんな病弱キャラだけど普段はもっと強くてはっきりしたキャラが多いよー。中身はぼけぼけですー。
あれアタシゃいつも人外キャラでござんすね。こんなナリだから、しかたないザマス。
しる口調もお前面白いんだよそれ。うつりそうになるザマス。
あれ既にうつってるザマス。これ役柄の喋り方だからな、俺もほんとはこんな口調だったりするんだけど、何か慣れちゃってアタシもうこれでいこうかしらん何て思うんでござんすけど。
うぃずそっちの方が違和感ねぇんだよな。寧ろ普通の口調が気持ち悪い。
あれ酷いザマス!
ぼたんあはははは
よき「ななち」は普段から不思議キャラが多いよねー。現代版には絶対移植出来ないキャラだよ…
ななち髪の毛切ったらそうでもないと思うんだがな…。
ぼたんあっ、意外と…良いかも!かも!
しるおう、かっこいいんじゃねぇの。…まあ身長が2m超えるってのは多少ビビるんだけど。…俺でも見上げるしなぁ…。
せばすそうですね、一度髪の毛切って現代版にも出てみられたら如何ですか?
ななちんー……(この間に色々と考えた)……まあ、考えておく……
うぃずずっと電脳に住んでるから久々に「躯」に入ると重く感じる…
よきうぃずっち、それは制御装置とバランサーを調節すればいいんだよ。見してみ、ほれ。見して。
あれみしてて…零韻さん方言でまくりです…
せばすウィズさんのチューニングしながら次の話題へ行きましょうか。取り敢えず、皆さんからメッセージを一言、皆さんへどうぞ。
しる俺俺、俺だよ。まだ作品の方にゃ出てねぇが、これからばんばん活躍するから、宜しく頼むぜ!良かったらファンレターも待ってるからよ!にしし!
あれファンレターって(笑)えー、今回はカメレオンで主役はらしてもらってますんで、気合い入れて頑張りたいと思うでござんす。どうぞ宜しくお願いしますぜ。
ななちそうだな、名前ばかりでまだ出番ではないが…今後活躍していく手はずなんで、宜しく頼む…。
ぼたんはいっはーい!元気な玖威ちゃんです!今後の展開が楽しみなカメレオン!私は病弱なヒロイン!(きゃるん!←)シャチョサンドゾミテクダサイネー!
うぃず俺は裏方に徹してるからよ。まあそんなには出てこないとは思うが、それなりに頑張るんで
よきそれなりて!
うぃず…あー、気合い入れて頑張るんで、応援宜しくな。
よきはいはーい零韻です。いつもは主役なんだけど、カメレオンでは準主役に落とされました!どっかのカメレオンのせいで!
あれちょ、零韻さんwww
よきまー、でも楽しそうな役柄なんで、今後も期待しています。どぞ、よろしくー!ドキドキシタリー、ワクワクシタリー
よきぼたん「「ラジバンダリー!!!」」
しるおいおいパクリか!(笑)
せばす私は今回は出番が無し、というところですかね。もしかしたら、カメレオンへ出るかもしれませんが。主に司会進行等させていただきます、今後ともどうぞ、愚鈍な母(ニル)ともども、長い目で見てやってください。では、此処迄読んで頂きありがとうございました。質問・メッセージなどございましたら、どうぞ拍手からどしどしお送り下さい。後日私達からのメッセージをブログにて掲載いたします。では、ごきげんよう。

【Hide More】
2008.06.04 * そのほか * CM:6 * TB:0 * top↑
Chameleon
「アレックス」
 声がかかったのはドアの方から。ふと振り返ればそこに零韻が佇んでいる。
「あ、あちゃー…」
「給料下げられたくなければさっさと上へ戻れ」
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【Read More】
 冷静な声に避難の色は無いが、その言葉が冗談だとも思えない色を帯びていた。仕方なしに立ち上がると、アレックスの長い腕をきゅっと掴む、小さな指。見下ろせば、倭卦が瞳に寂しさを浮かべながら、アレックスの顔を見上げている。その顔が、次の瞬間には微笑みに変わった。
「また明日も来てね、アレックス。お仕事頑張って」
「──…ええ、倭卦さん。もちろんでござんすよ」
 身を屈め、そっと倭卦の額へキスをする。手を振って部屋を出ると、外で待っていた零韻が溜息をついた。
「あのくらいで動揺していてどうする、お前が守ると決めたんだろう」
「…ええ、解ってます、零韻さん。すみません」
 目元を赤くして唇を噛み締め、髪の毛を乱暴に掻き上げる。スマートさなど一つもなく、ただ底には焦燥感だけがあった。
「……あれの病は治しようがない。それはあれも解っていることだ」
 辛辣とも思える言葉はただ端的に事実を述べるのみ。アレックスは小さく溜息を吐いて、眼鏡をかけ直す。

「で、何ですかい」
「新しい依頼が入った。今度のはもしかしたら少し大きいかもしれん」
 零韻が書類をアレックスに渡しながら言うと、アレックスは書類を掴みながら目を輝かせて零韻を見た。
「本当ですかい」
「ああ。『セカンド』じゃない…『ファースト』がらみだからな」



 この世界を三種類に分けて識別すると、「人智を超えるもの」、「知覚するもの」、「気づかぬもの」に分けられる。
 人智を超える、影響を与える存在を「ファースト」、それらを知覚することが出来、能力に秀でたものを「セカンド」、全くそれらに属さず、何も知らず何の力も持たぬものを「サード」とカテゴライズし、彼らはそれらを管理している。



 書類へ目を通すアレックスに、歩きながら零韻は真っ直ぐ前を向いて呟いた。
「この星の熱量が増え続ければ、それは最終的に死を意味する──つまりは、倭卦の死だ」
 アレックスもまた歩きながら、書類から視線を上げて零韻の横顔を見つめた。その表情には何の感情も見いだせない。
「我々はこの星を守らねばならない──仮令、コントラ・ムンディとなろうとも」







 地球という星は無限ではない。地平線や水平線は何処迄も繋がっているように見えたとしても、この球体には限りがある。その有限の世界に人々は増えすぎた。
 古来から地球は熱量の均衡を図るために生命を淘汰し、また育てて来た。その度に大地を震撼させ、凍らせ、あるいは焼き付くし、今の地球へと変容してきた。地上に澄む動植物の為に地球はあるのではない。ただ宇宙の一つのパーツとしての機能を担っているだけに過ぎない。だから、地球が地上の彼らが引き起こした具象に悲観する事も、憤怒する事も無い。ただ現在の自分に見合った形へと変容するだけのことだ。
 それを人間はやれ温暖化だの、自然破壊だのと騒ぎ立てる。地球がそれを咎めることもなければ、哀しむ事も無い。ただ人間が住めなくなるだけのことだ。
 人間を駆逐しているのは、他ならぬ人間本人なのだ。
 気づいているはずなのに彼らは成長を続ける文明から飛び降りる事が出来ずにいる。他力本願に世界平和や環境保護を願う。今更もう遅いのかもしれない。南極や北極の氷は溶け、島国は水没し、地震は頻発し、台風はその方向を変え、世界は未曾有の危機にさらされている。
 世界が滅びる足音はすぐそこまで近付いて来ていた。

「また来たの」
「だって、貴方は私だし、私は貴方だもの」
 真っ白な世界に一人だけ佇む人影に、倭卦はふわりと笑いかけた。彼女はそうね、と頷く。
 この場所に来るときは何時だって躯が軽い。倭卦は浮き上がらない様に彼女の手を握った。
 人影はいつも青く綺麗な瞳をしている。茶色の髪の毛も。でも最近その色が少しだけぼやけてきた。瞳の色は黒く濁り始めているし、髪の毛は赤茶けてきている。
「イメチェン?」
「そうね、イメチェン」
「前の方が良かったな。澄んだ色で」
「そう?私は何でもいいわ。見た目にこだわりは無いの」
 あっけらかんと言う彼女に、倭卦は微笑んだ。少しだけ寂しい気がするけれど、それもまた彼女の長所なんだろうと思うから。
「ねえ、また地震が起きたんだって。大陸が揺れて、沢山の人が死んだの」
「そう」
「哀しい顔がいっぱい増えた。西の方ではまだ戦争が続いてる」
「へえ」
 彼女の素っ気ない返事を聞きながら、倭卦はしっかりと彼女の手を握りしめた。
「私は貴方が大好きだけど」
「ん」
「貴方の中に居る、小さな命も大事なの」
「そう」
「だから、貴方が自分に頓着しないなら、私が貴方の姿を綺麗にしてあげるね」
「いいよ。倭卦だから」
 彼女は振り返る。倭卦の赤い瞳を見つめて言った。
「貴方は私で、私は貴方だものね」
 そう言って笑う顔は、倭卦と瓜二つであった。
【Hide More】
2008.06.03 * 連載小説 * CM:0 * TB:0 * top↑
Chameleon
 零韻は別の部屋に移動していた。
 この探偵事務所には個性豊かな人材が居るが、先ほどアレックスが名を告げた「ウィズ」という奴も、なかなか個性的だ。

「ウィズ、居るか」

 零韻がノックしたのはドアではない。巨大なコンピュータのハードディスクだ。ヴン、とモニタが音を立てて起動し、そこに黒髪でオールバックの青年の顔が浮かび上がる。

 ──当たり前だ。
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【Read More】
 応えたのはコンピュータのAI…ではない。彼は元々人間だった。極度の人間嫌いで、元々の電脳好きも高じて自分の全てを電脳へ移してしまったのである。つまり元は人間。現在はこの世界中に広がる電脳空間の主。ネットの中で泳ぐ情報を即座に認識出来る電脳人間だ。
 ずっとネットの中に居るかと言えば実はそうでもない。どうしても動かなければならないような場所には端末を送る。端末というのは人型のアンドロイドのようなもので、疑似人間とでも言おうか、ウィズが開発した電脳人間用の擬態ボディだ。人型のそれに様々なソフトをダウンロードすることも出来、ソフト如何で処理能力が変わったりもする。そんな端末を彼は、世界各地の至る所へ隠してある。その為、瞬時に世界中へ移動する事も可能だ。
 まあ好んで移動したりしようとはしないようだが。やむにやまれず、というときだけのようだ。よほど電脳空間は彼に取って居心地が良いらしい。
 そんな彼も、まだ電脳人間になる前はただの人間だった。最もその頃から彼はネットの世界では有名だったが。

ウィズ
 ウィズ・ソーサラーと聞いてその名を知らない者はモグリだ。3年前世界を恐慌させたコンピュータウィルス、「エンドレス」。それは一通のメールからコンピュータを浸食し全てのデータを徹底的に、壊滅的に破壊する厄介なウィルスだった。それが国のマザーコンピュータまで浸食しかけた時、そのウィルスを駆除する攻性ワクチンが発動した。そのワクチンによりウィルスは完全に駆除され、またそのウィルスを開発しネットへ流したクラッカーをも検索してこれを逮捕させるに至らせたのだ。
 そして、そのワクチンを作った者こそ、「ネットの魔法使い」と呼ばれたウィズだったのである。

 ──これでデータは全てだ。

 機械音の声。カシュ、とデータの入ったマイクロチップが黒いHDから排出されると、零韻はそれを指で挟んで軽く降った。

「Thanks」





 その頃同じビルにある病院では、零韻に良く似ているが幾分雰囲気の柔らかで華奢な少女のベッドの脇で、アレックスはいつも通りの微笑みを浮かべて椅子に座っていた。

「もうアレクったら。そんなたいしたことは無いんだから、毎日お見舞いに来なくても良いのに」
 困った様に言う言葉にも何処か媚が含まれている。それは恋人に対する甘えに相違ないだろう。その言葉が真実であることを裏付けるものは、病室中に飾られた花だ。毎日、毎日。必ず一度はアレックスが顔を見せに来るから、部屋はちょっとした花屋みたいになってしまっている。
「だって今丁度誰も部屋にいないんでござんすよぅ、ちょっとくらいいいじゃござんせんか」
 ねえ、なんて声をかけながら、アレックスは頭ひとつ分小さな愛しい彼女にすりすりと頬擦りする。そうすると、困った様にまた彼女が笑うのだ。

倭卦
 彼女の名前は、霧崎倭卦(きりさきわか)。そう、零韻の双子の妹である。妹、と言ったが、零韻同様天(デーヴァ)である為性別は自由。ただ恋人が男だったから、今は性別が女性で固定している。
 彼女は零韻を取り敢えず便宜上、「兄」と呼ぶ。性別が無いからとは言え、零韻は双子の片割れであり、また周囲も三人称の場合どう呼ぶかを悩んでしまうので、敢えて、そこでは「兄」、また「彼」と便宜上の三人称がつけられた。


 話を戻そう。


 つまり倭卦もまた零韻と同じ種族であった。零韻と同じ赤い瞳、七色に輝く白銀の髪の毛を持つ。その神に等しい種族の彼らは不老不死のはずだ。それがどうしてこんな病室に閉じこめられているのか。

「ほら、もう…点滴がとれちゃうでしょー?」
 倭卦の笑い声にアレックスの蕩けたような声が絡む。倭卦の躯は病院に居るというのに、薬の臭いよりも花のような優しい甘さの臭いがしていた。これは、天の種族特有のもので、個々で香りが変わるらしい。
「んー、倭卦さん良い匂いがするざますー」

 大の男が恥ずかし気も無く自分よりも華奢で小さな少女にしがみついて擦り寄る。何を甘えているのやら、と思うものだが、倭卦はそれを笑顔で抱きとめている。
 彼女にとって彼はとても愛しい人の一人だった。倭卦という人は、誰にでも分け隔てなくその愛情を惜しむ事無く分け与えられる、そういう人だった。
 だから、アレックスは彼女を守ろうと思っている。たった一人になったって(あの零韻が居る限り、彼女は一人にはならないだろうけれど)彼女の為ならずっと味方でいると自分に誓っている。
「倭卦さん、今日のお加減は如何でござんすか?」
「大丈夫だってば。兄さんもアレクも心配しすぎなのよ」
 ぷくりと頬を膨らませて、倭卦は文句を言う。そんな様子が可愛いのか、アレックスは微笑んで倭卦の頭を撫でた。
「そうおっしゃらないでおくんなさい。倭卦さんがまた倒れたら、零韻さんだって心配なさるんでござんすよ?」
「……解ってるけどぉ…ただの貧血だもん、疲労だもん。もう平気だもん…」
 まるで子供のような彼女。アレックスはいつも下がったままの繭の下の目を益々細めて、ぺろりと舌を出した。
「駄々を捏ねないでおくんなさいよ、倭卦さん。アタシが怒られちまう」
 ぽむぽむと撫でる手は、男にしてはとても白くて、だけどしっかり骨張った、ちゃんと男の手をしていて、大きな掌に頭を撫でられれば、倭卦はふしゅー、と頬から空気を抜いてしまう。
「んもう。しょうがないな、アレックスは」
 まるで悪戯な弟をたしなめるように言うが、その実、優しく諭されているのは倭卦の方だ。本当は倭卦にも薄々気づいている。自分の病の原因を。そして、そのせいで兄を始め、皆が働いていることを。
「…ごめんね」
 小さな、小さな声。アレックスは聴覚が良い。だが、それは聞かない振りをした。
「何かおっしゃいましたかい、倭卦さん?」
「ううん」
 倭卦は顔を上げると、笑顔でアレックスを見上げた。その笑顔があんまり花の様に綺麗だから、アレックスの胸がずきりと痛む。
「ねえ、また明日も来てくれる?」
「ええ、勿論ザマス」
 アレックスが毎日来たがるのは事実だ。だが、本当は知っていた。誰よりも寂しがりな彼女。本当は一人でこんな部屋に居たく無いのだって事。
【Hide More】
2008.05.26 * 連載小説 * CM:7 * TB:0 * top↑
       
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